髪切り曜日
たそがれが心に翳るころに わたしは
ながい髪を切った
暗い美容院の鏡 ポツリと
さよならに震える わたしが映った
黄色い電車に コトコトゆられ
たったひとりの 愛にもどる
いつもわたしは 考えていた
あざやかな愛の ときどきを
髪が肩までのびるたびに わたしは
ため息つくことがあった
長い坂道 くだってゆく
うしろ姿 見送ったことがあった
青い電車に コトコトゆられ
たったひとりの 髪切り曜日
いつもわたしは 考えていた
あなたの言葉の ひとつひとつを
春は あなたの裏切りに思え
夏は 夜のコーヒー・ショップで
秋は わたしの罪にも思え
冬は 風の嘆きを聞いた
赤い電車に コトコトゆられ
たったひとりの 髪切り曜日
いつもわたしは 考えていた
あなたの言葉の 嘘と本当