(セリフ)
その年は雨が多かった
当時俺たちは吉祥寺の外れにある
小さな喫茶店をたまり場にしていた
店の名前は「ミロ」そこで知り合った女は
名前をヨーコといった
ヨーコは絵を描いていた
いつかパリに行くんだと
ヨーコはいっていた
俺の作った歌を口ずさみながら
彼女は良く俺の横顔をスケッチした
その絵が一枚
色あせて今も俺の部屋にある
そして古いギター
雨の音を聞いた
二人は抱き合っていた
十日前に知り合ってから
ずっと雨と君だけ
安い酒とサラダとパンと
ジャズやタバコの煙
語り尽くせない五月の頃は
うたう歌部屋の匂い
つかの間の太陽
雨のやんだ夜に
二人は酔いどれていた
声もかれてうたいさわいだ
朝がやってくるまで
目ざめたときは君はいない
それきり戻らなかった
※何を悔むだろう五月の頃を
燃えた恋苦い別れ
二人うたった歌
※くり返し